奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座-附属病院・放射線治療科

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診療内容

放射線治療分野

●強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)

従来の放射線治療ではマルチリーフコリメータと呼ばれる数mmから1cm程度の厚みを持つ金属で放射線を当てる範囲を絞って、均一な照射を行っていました。そのため腫瘍の形状が複雑な場合、腫瘍周囲の正常組織にも腫瘍と同じ線量が照射されていました。IMRTでは図1のように、照射中にマルチリーフコリメータを移動させることで、放射線の強弱をつけています。

図1 IMRTの照射野 図2 従来の放射線治療の照射野
図3 IMRTの放射線の強度 図4 従来の放射線治療の強度

図3のIMRTでは照射野内で放射線に強弱をつけることで腫瘍()の形に添った照射が可能です。図4の通常の放射線治療では照射野内を均一に照射するため、腫瘍よりも広く照射されます。

図5 IMRTの線量分布 図6 従来の放射線治療の線量分布

図5の従来の放射線治療では膀胱()や直腸()にも腫瘍と同じ線量が照射されていました。図6のIMRTでは腫瘍()の形状に添って放射線が照射できるため、膀胱()と直腸()の線量を下げることが可能であり、副作用の低減が期待できます。

核医学分野

 放射性同位元素の診療への応用は多岐にわたります。当施設では、そのうちin vivo核医学診断および内用療法を行っています。

 機能イメージングとしての核医学診断は、脳神経、循環器、腫瘍の3大領域のほか、骨・関節、内分泌、呼吸器、消化器、血液、腎臓、炎症などの領域に区別されます。検査種を細かく分類すると70数種類にもなりますが、その頻度はさまざまです(毎日〜数年に1回)。年間約2500件の検査を行っています。患者さん毎に最適化(医薬品の投与法・投与量、撮像法)した検査を安全に実施し、背景を分析〜すなわち診断〜を心がけています。

 内用療法は、病変への特異的な集積を生かして治療を行うものです。放射線治療部門や他診療科と連携し、I-131によるバセドウ病および甲状腺癌の治療、Sr-89による骨転移の疼痛緩和、およびY-90標識抗体による悪性リンパ腫の治療を行っています。近年症例数は増加傾向で、今後も発展が期待される領域です。

 これら診療を中心に、卒前/卒後教育、および臨床研究を行っています。


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